FRESH ACTRESS 喜多乃愛
PHOTO=小澤太一 INTERVIEW=斉藤貴志
8月29日から上演される舞台「大きな虹のあとで~不動四兄弟~」。出演する若手女優4人をリレー形式でインタビューしています。3人目はデビューしたてのフレッシュな新人、喜多乃愛をクローズアップ。
「大きな虹のあとで~不動四兄弟~」で初舞台
戦時中の物語で本人とも重なる明るい女の子役
――中学生のときに研音のオーディションに合格したそうですが、学校生活はどんなふうに送っていたんですか?
「部活は人数が多いソフトテニス部で、副部長をやっていました。明るい子でしたね。今も明るいんですけど(笑)」。
――友だちも多かったり?
「多いです。友だちは大好きです(笑)。クラス替えをすると、人見知りしちゃうことが多いんですけど、慣れてくると、いろいろな子に自分から話し掛けにいきます」。
――特技に“世界史を暗記する”とありますが、日本史より世界史が好きなんですか?
「そうですね。世界史のほうが好きです。特に第一次世界大戦から第二次世界大戦の終わりまでが興味深いです。国と国の繋がりが面白くて……。今回の舞台にも、ちょっと活かせる部分があるかなと思います」。
――研音のオーディションを受けたのは、どういう経緯から?
「もともと芸能界に憧れがあって、親が私に内緒で履歴書を送っていたんです。突然『書類審査通ったよ』と言われて、『えっ? 送ってたの?』となって(笑)。でもせっかくのチャンスなので『絶対受かるぞ!』と思って面接を受けました」。
――そういうことだったんですね。事務所の先輩で憧れている女優さんはいますか?
「榮倉奈々さんです。私が知ったきっかけは『メイちゃんの執事』で、最近だと『東京タラレバ娘』も観てました。すごくきれいだしスタイルも抜群で、お芝居の面でも、どんなに感じが違う役柄にもちゃんと対応されていて、とても素敵な女優さんだと思います」。
――乃愛さんは演技に関しては、研音のレッスンで初めて体験したわけですか?
「レッスンに参加するまでは全然やったことがありませんでした。お芝居は難しいですけど、楽しさのほうが勝ってます。お芝居の先生が楽しい部分を私たちに教えてくださるので、最近すごく没頭しています。課題がたくさんあっても、乗り越えていくのがまた楽しくて!」。
――自分がうまくなっていく実感もあるでしょうね。
「少しずつ。でも、“まだまだ”と思うことのほうが多いです」。
――ドラマ「あなたのことはそれほど」で女優デビューとなりました。大政絢さんが演じた飯田香子の中学時代の役でしたね。
「撮影の現場に入ること自体が初めてで、すごく動揺しました(笑)。『どんな感じになるんだろう?』と思ったんですけど、楽屋を出て行ってみると、教室の雰囲気がちゃんと作られていて、思った以上にリラックスしてお芝居ができました」。
――今まで観てきたドラマでは、どんな作品が特に好きでした?
「『1リットルの涙』です。私、ドラマや映画を観て泣くことはあまりないんですけど、すごく感情移入しちゃって『こんなに心を動かされる作品があるんだ』と思いました」。
――放送されたのは、乃愛さんが小さい頃ですよね?
「中学生になってから、DVDで観たんです。沢尻エリカさんのお芝居もビックリするほどすごくて、本当に感動しました」。
――舞台は何か観たことはあります?
「ミュージカルは観に行ったことがあります。帝国劇場でやっていた『1789 バスティーユの恋人たち』という作品で、小池徹平さんや神田沙也加さんが出演されていたフランス革命のお話です」。
――そこも世界史好きとして惹かれて?
「はい。生の迫力が本当にすごかったです! そのときの感動は今でも自分のなかに残っています。観客が舞台をどういうふうに観るのかを知るうえでも、すごく良い経験になったと思います」。
――8月に初舞台「大きな虹のあとで~不動四兄弟~」が控えてますが、乃愛さんはダンスを4歳からやっていたそうで、人前に出ること自体は慣れている感じですか?
「ダンスの発表会でかなり経験を積んできてるので、大きいステージは初めてではないですけど、お芝居となると初めてなので、やっぱり緊張してます」。
――ダンスでは緊張しないと?
「いや、すごく緊張します(笑)。ステージ袖で前の作品を観ながら待っているときはドキドキしてます。でも自分が出る直前になると、緊張がすっかり消えて不思議な感覚になって……。本番はとにかく楽しくて気持ち良いです」。
――お芝居でもそうなれたらいいですね。
「そうですね。ちゃんと役に入れたらと思います」。
――とりあえず台本を読んで、どんなことを感じました?
「戦争中の彼らも現代社会を生きる人と同じように恋をしていて、だからこそ胸が苦しくなりました。そのなかで彼らが振り絞って出した言葉のひとつひとつに感情がこもっていて、『この台詞はこういう気持ちだから出てきたんだろうな』と深いところまで感じることができました。グッとくる台詞もいくつかあって……」。
――泣きそうになったところも?
「ありました。彼らの気持ちを考えると、何とも言葉にできない感情になりますね。そういう気持ちを大切にして、お芝居しなきゃと思いました」。
普段より自分をさらけ出して
役になりきりたいと思います
――そんななかで乃愛さんが演じる花は、どんな役柄ですか?
「明るくて、でも芯はしっかりしている女の子です」。
――乃愛さんに合ってますか?
「明るいところは同じです。ただ、私はハッチャケるというより、ただ明るい感じなので、普段より自分をオープンにして、もっとさらけ出さないと、花になれないと思います。そこをこれから稽古でやっていきたいと思います」。
――女の子同士で恋バナをする場面もありますが、今の女子高生もよくすることですか?
「私は恋をまったくしてなくて(笑)。仲良い4人組の友だちがいるんですけど、誰も恋をしてないから、恋バナもあまりしないんです」。
――でも、周りではしている人たちもいません?
「自分の経験上では、高校生より中学生のほうが恋バナを好きな印象が強いですね。中学生の頃はすごく盛り上がってました」。
――当時は乃愛さんも加わっていて?
「まあ、そうですね。サッカー部の男の子が人気でした(笑)」。
――劇中では“好みのタイプ”を尋ね合う台詞もありますが……。
「私は誠実で明るい人が一番です。一緒にいると楽しくて元気になれる人、意志がちゃんとしている人がいいと思います」。
――稽古はこれからだそうですが、準備でしておきたいことはあります?
「初めての舞台なので、どういうことをしたらいいのか、演出の方に聞きに行ったんです。そしたら『たとえばカラオケにたくさん行って、声を強くしなさい』と言われました。だから、カラオケに行く回数を増やしてます」。
――へーっ。歌うのが練習になるんですね。もともとカラオケは……。
「好きです。今は時間が空くと他のことは考えずに『カラオケに行こう』と切り替えました。やっぱり声は大事だと思うので……」。
――で、どんな曲を歌うんですか?
「とにかく乃木坂46さんの曲を歌います。よく歌うのは『何度目の青空か?』とか。聴くのが好きなのは『きっかけ』です。歌詞が強いというか迷いがないというか、すごくポジティブになれます」。
――乃木坂46に推しメンはいます?
「西野七瀬さんが大好きです! ふんわりしていて、かわいらしくて、素敵な女性だと思います」。
――舞台の練習として歌うなら、お腹から大きな声を出して……という感じですか?
「大きな声も意識しますけど、好きな曲を歌って感情が乗ることも大事なので、歌いたい曲をたくさん歌うようにしています。乃木坂さん以外だと、いきものがかりさんとか絢香さんとかですね」。
――1人で歌いに行くんですか?
「この前初めて1人で行って2時間くらい歌ったんですけど、意外といつもと変わらずリラックスできる感じがしたので、これからも1人で行けそうです」。
――他にも何か本番までにやっておきたいことはありますか?
「特攻隊の飛行場があった知覧の特攻平和会館に絶対に行きたいと思ってます。当時のことをちゃんと知ったうえで演じないと伝わらないと思うので、家族に頼んで計画を立ててもらっているところです」。
――そこまでするとは力が入ってますね。共演する他の若手女性キャストは、芸歴的にはみんな乃愛さんの先輩になりますが……。
「お芝居のレッスンを一緒に受けているので、先輩方から学ばせていただいています」。
――その先輩たちの作品は何か観てました?
「はい。特に印象に残っているのは、(桜田)ひよりちゃんの『明日、ママがいない』です。痛みと強さがお芝居から伝わってきて、すごいなと思いました」。
――中学生になったひよりさんのお芝居を、レッスンで間近で見ると?
「とても上手です! 本当に憧れます。一緒の舞台に立つので私も頑張らないと!」。
――今年の夏はこの舞台に賭ける感じかと思いますが、デビュー前の去年の夏はどう過ごしてました?
「私の学校はすごく勉強に厳しくて、勉強合宿というのがありました。4泊5日で毎日10時間以上の授業や勉強をひたすらやって、あとは食べて寝るだけ……みたいな生活をするんですけど、も~辛かったです! 今までの人生で一番辛かったと思います(笑)」。
――それは今年もあるんですか?
「希望制なんですけど、スケジュールを見て、行けたら行こうかなと思ってます」。
――仕事を始めても、勉強もしっかりやろうと?
「そうですね。この前のテストはあまり良くなかったんですけど(笑)、少しでも良い成績を維持できるようにして、お仕事とどっちも頑張りたいです」。
――夏の楽しみもありますか?
「家族旅行に行くのが一番の楽しみです。おばあちゃんの家が新潟なので、新潟から東北のほうに行ったり、私の埼玉の家におばあちゃんが来て、一緒に静岡や山梨に行ったり、いろいろなところに行く予定です」。
――高校生になっても、そんなに家族の仲がいいんですね。
「はい。私、反抗期とかはなかったです」。
――最後に、デビューしたばかりの乃愛さんですが、将来的に目指す女優像はありますか?
「私は2000年生まれで、2020年に20歳になるんですけど、その年までに朝ドラに出演することを目標にしています。自分の長所である笑顔を活かして、観ている方の心を動かせるようなお芝居ができる女優になりたいと思います」。
喜多乃愛(きた・のあ)
生年月日:2000年5月18日(17歳)
出身地:埼玉県
血液型:A型
【CHECK IT】
中学3年のときに研音のオーディションに合格。2017年4月にドラマ「あなたのことはそれほど」(TBS系)で女優デビュー。8月29日(火)~9月3日(日)に中野ザ・ポケットで上演される舞台「大きな虹のあとで~不動四兄弟~」に出演。
詳しい情報は公式HPへ
舞台「大きな虹のあとで~不動四兄弟~」
8月29日(火)~9月3日(日)中野ザ・ポケット
チケット発売中
出演:入江甚儀、市川知宏、竜星涼、山本涼介、大友花恋、桜田ひより、喜多乃愛、矢作穂香ほか
詳しい情報は公式HPへ