FRESH ACTRESS 青島心
PHOTO=古賀良郎 INTERVIEW=斉藤貴志
特撮「絶狼<ZERO>-DRAGON BLOOD-」の
ヒロインで女優デビューした17歳
――公式プロフィールでは身長163㎝になってますが、もっと高くないですか?
「1年くらい前に『絶狼』の撮影現場でスタッフさんに測ってもらったら、166㎝でした。今はもっと伸びたかもしれません」。
――高2で伸びたんですか? 何かしたんですか?
「たぶんですけど、『絶狼』の撮影に入る前にアクション練習をしたので、体がほぐれて伸びたんじゃないかと思います」。
――良かったですね。
「うれしい……ですかね? でも、165か166でストップしてほしいです」。
――「絶狼」のオンエアが始まってから、周りでも盛り上がってます?
「私が住んでいる静岡では放送されてないんですけど、学校の友だちや先生がネットで観てくれて、『笑っちゃう』と言います(笑)。演技している私が、普段と違うから」。
――普段の心さんは演じているアリスっぽくないと?
「全然アリスっぽくないです。アリスちゃんは芯が強くてテキパキした子ですけど、私は決断力がなくて優柔不断だし、周りの意見を聞いちゃう部分があるので」。
――洋服を買うのも迷うタイプ?
「ずーっと悩んでます。決めるのに半日ぐらいかかります。毎回『これとこれはどっちがいいかな?』って、結局、両方買っちゃったり(笑)」。
――自分ではオンエアを観ると、どう思います?
「テレくさいです。最初はすごく恥ずかしくて、観るのがイヤでした(笑)。『あの撮影がこういうシーンになったんだ』とか、自分の演技より作品として観るようにしています」。
――しばらく前だった撮影で、今も特に覚えているのはどんなことですか?
「わりと覚えていて、5月の私の誕生日のときには、撮影が終わったあと、皆さんがお祝いしてくださいました」。
――ケーキが出てきて?
「そうです。そういう経験も初めてで、うれしかったんですけど、福岡で撮影していて、次の日が学校の大きなテストで、その日のうちに静岡に帰らないといけなかったんですね。うれしいのと忙しいのがギュッと凝縮されて、超ハードな1日でした」。
――シーンで印象深いのは?
「物語のなかの大切なシーンで、監督さんに『できれば泣いてほしい』と言われたことですね。演技で泣くってどうすればいいのかわからなかったんです。皆さんがすごく待ってくださって、私が泣ける状態にしていただきました」。
――へーっ。これまでのオンエア分では、アリスは泣く感じの子じゃないですよね。心さん自身は涙もろいほう?
「私はすっごい泣くんですよ。作品を観ても泣きますし、身近なうれしいことでもすぐ泣いちゃいます」。
――最近だと、どんなことで?
「学校の修学旅行があったんです。私、絶叫系とかダメなのに、みんなに『これは全然怖くないから。楽しいから乗ってみたら?』と言われて乗ったら、ジェットコースター並みの怖さで! そのときに泣きました」。
――感動の涙とかではなくて(笑)。
「感動してないです(笑)。本当に怖くて、『ダマしやがって……』と思いながら泣いてました(笑)」。
――「絶狼」ではそういう意味で、怖いシーンはありませんでした? 教会から海に飛び降りるシーンもありましたが……。
「あれは実際に教会の屋根の上に立ったんです。ものすごく怖くて、私の前に画家役の人も同じところに立って怖がってましたけど、撮影が押していて、私がそこで『怖い』とは言えませんでした。スタッフさんたちを困らせたらいけないと思って、頑張って怖さを抑えました。でも、やっぱり怖かったです」。
――もともと高いところは苦手なんですか?
「苦手ですね~。しかも命綱も何もなくて、本当に怖かったんですけど、やらなきゃ終わらないし、仕事なので」。
――さすが、プロ根性。
「でも、カットが掛かった瞬間、『もうムリ! 怖いです!』って、すぐ降りました(笑)」。
――落ちるシーンはどうだったんですか?
「そこはワイヤーで吊られて、下から風が来て落ちるふうに撮っていただいたので、大丈夫でした。全体的にアクションはそんなになくて、他は怖い思いをしないで済みました」。
――今回が女優デビューですが、演技レッスンは受けていたんですか?
「ほとんど受けたことがなくて、オーディションに行くことが、私にとってレッスンだと思っていました。経験を積み重ねて成長していけたらと」。
――アリス役もオーディションだったんですよね?
「1次と2次があって、1次は台本を事前に渡されて、覚えていって演技を見ていただきました。あとは普通に自己紹介とか。2次で初めて、雨宮(慶太)監督とお会いして。いきなり台本を渡されて『これ読んでみて』と、演技だけで終わりました」。
――受かると思ってました?
「全然。たくさん同世代の人が来ていて、テレビに出ている人もいたなかで、私はあまり演技をしたことがなかったし。受かるとは思わずに経験のつもりで行ったので、受かってビックリしましたね」。
――今思うと何が良かった、とかは?
「監督さんに最初言っていただいたのが、1次は5・6人ずつで受けて、私は『他の人の演技を見ている横顔が良かった』ということでした。『演技はそんなに見てないから』って(笑)」。
――へーっ。
「確かに私は他の人の演技から勉強しようと思って、一生懸命見ていたんです。他の人は緊張されていて、自分の演技をどうするか考えていたみたいで、私だけ自分のことが頭になかったのが良かったらしいです」。
――いきなりヒロインというのは、うれしいことでしょうけど、大変さもあったのでは?
「演技というものが全然わかってないところでいきなりだったので、どうしていいかわからず、監督さんに言われたことを素直に聞いて『ハイ』ってやる感じでした。自分では『こうしたい』と思っても、口から出た台詞は全然違っていたり。いろいろ相談させていただきました。静岡のなまりが出て、何回もNGを出してしまったこともありました」。
――アリスは零にも最初から「あなたはどうしてホラーと戦ってるの?」とか、タメ口っぽい話し方をしますが、心さんは普段、そういう口の利き方は?
「しません。私は人見知りなので、アリスちゃんみたいにズバズバとは言えないですね」。
――アリスは平然と無茶もしますよね。狙われているのに、こっそり外に遊びに行ったり。
「私も台本を読んで『オーッ!?』とビックリしました。自分と似ているタイプでは全然ないです。私は怖いこと、嫌いなので(笑)。家でおとなしくしているほうです。前にダイエットのために夜中に走ったことがあるんですけど、地元は田舎で薄暗い道が多くて、『何か出たらどうしよう……』と思って全然集中できなくて、続きませんでした」。
元気な役のはずだったんですけど
私がやったら天然に見られて(笑)
――もともと女優になりたくて、「東宝シンデレラ」のオーディションを受けたんですよね?
「そのときは小学5年生で、この世界に全然興味ありませんでした。お母さんが勝手に応募しちゃったんです(笑)。でも審査を受けていくなかで、周りに本気でやりたいと思っている子がたくさんいて、半分遊びで来た自分が恥ずかしく思えました。そういう人たちが落ちて、自分を残していただいたなら、落ちた人たちの分も頑張らないと……という気持ちが芽生えたんです。それで、事務所の方に『やってみない?』と言われて入れていただいたので、女優さんになって恩返しをしたいと思っています」。
――小学生でそこまで考えたんですね。戸田恵梨香さんが目標だそうですが……。
「大好きで憧れてます。『SPEC』とか『エイプリルフールズ』とか、あと『LIAR GAME』を観て尊敬するようになりました。『SPEC』と『LIAR GAME』って、物語の雰囲気的に暗い感じのミステリー系で似てますよね? でも、戸田恵梨香さんの演技はすごく違っていて。陰のある役とピュアな役で、振り幅がすごいなーと思いました」。
――他にも、映画やドラマはよく観ます?
「はい。最近だと『TOO YOUNG TO DIE! 若くして死ぬ』を観ました。あと、小松菜奈さんの作品をよく観ていて、毎回『かわいいなぁ……』と思ってます(笑)」。
――心さんにも今後は、学園ものや恋愛ものが来そうですね。
「やりたい気はマンマンですね(笑)。そういう作品を観ながら、『自分ならこう演じたいな。こう表現したいな』と考えてます」。
――クラスのどんなポジションの子が合いそうですか?
「優等生役をやってみたいですね。憧れじゃないですか。悪い子もやってみたいですけど、すごく難しいと思うんです。私は悪い子に見えなさそうで。アリスちゃんも元気な役と言われてたんですけど、私がやったら『元気というより天然に見える』と、たくさん言われました(笑)」。
――実際、学校では優等生なんですか?
「そういうわけではないです。優等生ではなく、悪い子でもなく(笑)。普通ですね」。
――お父さんの勧めで小4から少林寺拳法を習っているんですよね?
「嫌々……というと、お父さんに怒られちゃいますけど(笑)、運動は苦手なんです。でも、やるからには黒帯を取りたいと思って頑張りました」。
――負けず嫌いなんだ。「絶狼」でホラーとも戦えたんじゃないですか?
「いやいや! 戦いたくないです(笑)。アクション、苦手なので。運動神経は悪いと言われています」。
――50m走のタイムは?
「8秒0とか? めちゃくちゃ遅くはないですけど、走ることが大嫌いで、極力走りたくなくて。球技も嫌いですけど、体育の授業でバスケだけは楽しいです。なぜかシュートがめっちゃ入るんですよ。近くからですけど」。
――少林寺拳法の他に習いごとやハマったことはありますか?
「ディズニーのピクサー作品のDVDは集めています。アニメで人は演技してないけど、大切なことが得られるというか。特に『カーズ』では、仲間の大切さとかすごく感じました」。
――アリスは写真を撮ってますね。
「撮影の最初のほうに、監督さんたちからカメラをプレゼントしていただいて、『たくさん写真を撮って』と言われました。北九州で『絶狼』を撮影していたとき、風景や共演者さんをいっぱい撮って、アリスちゃんのおかげでカメラが好きになりました」。
――アリスが使っているようなフィルムのカメラだったんですか?
「デジカメでしたけど、アリスちゃんが現像をするシーンは実際に一度、暗室で薬品を使って全部体験したうえで撮らせていただきました。一度でも経験していると気持ちが作れるので、ありがたかったです」。
――普段は放課後や休日はどう過ごすことが多いですか?
「最近は外に遊びに行くことが多いです。服が大好きで、友だちと見に行ったり。静岡にも109があるんですよ! 東京のほうが品揃えは全然すごいけど、行くと楽しいです」。
――4月から高3ということで。
「高校最後の1年は、高校生にしかできないことをしておきたい気持ちもありつつ、お仕事も頑張っていきたくて。この世界の人は学生生活を削ってでも、皆さんに伝えたいものがある人が多いと思うので。私もキッチリ仕事をして実力を積んでいきたいです。JKとして楽しむことは楽しみながら」。
――JKとしては、どんなことをしておきたいと?
「制服ディズニーとか? 学校で最近流行ってます。静岡から制服でディズニーに行って、制服で帰ってくる。そこまで遠くもないので」。
――でも、マウンテン系とかは乗らずに?
「絶対乗りたくないです(笑)! 『イッツ・ア・スモールワールド』とか、そういう系がいいです」。
――大学には進学するんですか?
「一応行こうと思ってます。理系が得意なので、理科が学べるところに。お仕事のことを考えて上京したくて。東京には大学がいっぱいあるじゃないですか。どこも素敵に見えちゃって、いろいろ迷っちゃって、志望校が全然決まらないですね(笑)」。
――何にしても、卒業したら上京するんですね。
「早く上京したいです。お仕事の幅も広がるので。『東京に住みたいか?』と言われたら、静岡のほうがいいですけど、お仕事を頑張りたいので、やっぱり東京に行くしかないなと」。
――仕事に意欲的ですね。
「『絶狼』をやり終えて、『もっと演技をしたい』と思うようになりました」。
――出演前は「牙狼<GARO>」シリーズを観たことはなかったそうですが……。
「初めて観ても絶狼はカッコイイし、回を重ねるごとに『次はどうなるんだろう?』って観たい気持ちが高まりました。最初に現場で絶狼が戦うシーンを見たときは、『怖い人だな』と思ったんです(笑)。大きくて、剣を振り回していて。でも作品で観ると、正直特撮に興味なかった私でも、すごくカッコよく思えました」。
――クライマックスも目が離せませんね。
「今までファンの方の間で、『雨宮監督作品はこうなる』『絶対こういう展開にならない』というのがあったらしいんです。でも今回、監督さんがそういうのをブッ壊して、いろいろなことをしちゃっているので、期待してください。アリスちゃんが頑張っているのも、ぜひ観てほしいです」。
青島心(あおしま・こころ)
生年月日:1999年5月19日(17歳)
出身地:静岡県
血液型:A型
【CHECK IT】
2015年より「ラブベリー」(徳間書店)で専属モデル。2017年1月より放送中の特撮ドラマ「絶狼<ZERO>-DRAGON BLOOD-」(テレビ東京/金曜25:23~ほか)のヒロイン・尋海アリス役で女優デビュー。