PICK UP ACTRESS 芳根京子

PICK UP ACTRESS 芳根京子

PHOTO=城方雅孝 STYLING=藤本大輔
HAIR&MAKE=KOTOMI INTERVIEW=左藤 豊

今日放送スタートのNHK朝ドラ「べっぴんさん」主演
子供服作りに邁進するヒロインに挑む

――連続テレビ小説「べっぴんさん」の放送がいよいよスタートです。撮影も順調かと思いますが、まずヒロインとして今の心境を教えてください。

「これまでにも主演を務めさせていただいた経験はありますが、『主演だからどうしよう』とか『主演だから私が何かをしないと』など考えると、きっと自分で自分にプレッシャーをかけてしまうので、あまり意識しないようにしています。ただ、私は撮影現場に一番長くいる人間なので、常に作品のことは考えていたいですし、一番作品を愛していたいと思っています。これは主演が決まった時からブレることなくずっと同じ気持ちです」。

――芳根さんが演じるすみれに対して、どのような印象を持っていますか?

「『すごく強い女性だな』って、日々演じていて感じます。第1週目の幼少期のすみれ(渡邉このみ)は、自分の言いたいことも言えなくて、お父様(生瀬勝久)に『いつもお前は!』と言われるような子ですが、週を重ねていくごとにさまざまな経験をして、いろんなことを知って、どんどん強くなっていくすみれに私はとても感動しています。でも、小さい頃からの興味や好奇心、上品さはずっと持っていたいので、渡邉このみちゃんが演じた幼少期のすみれを大切にしていきたいと思っています」。


――幼少期のすみれが靴屋の店主・麻田(市村正親)からもの作りの大切さを知る場面は、とても印象的でした。

「私もあのシーンを見て泣きました。麻田さんのセリフから、何をする時でも“思いを込める”のは大切なことだと気付かせてもらいましたし、私も1シーン1シーン大切に丁寧に、思いを込めて演じたいなと思いました」。

――では、芳根さんが演じていて印象的だったシーンや、注目してほしいシーンは?

「全体を通して言えるのは、刺繍やお裁縫をしているシーンですね。私たちも4月からお稽古をして実際に自分たちでやっていますし、刺繍やお裁縫があっての『べっぴんさん』なので、まずはそこに注目してほしいです」。

――芳根さんのおばあ様も裁縫の先生だったそうですね。

「はい。手芸が大好きで、お裁縫やパッチワークの先生をしていました。私にもニットやクッションを贈ってもらいましたが、中でも一番感動したのはベッドカバーです。普通のベッドもすっぽりかぶるくらいのすごく大きいベッドカバーを、おばあちゃんがパッチワークで全部手縫いで作ってくれたんですよ! 最初は使えなくて…、大切にしたくて壁に飾っていましたが、2年前におばあちゃんが亡くなってからは『使うことがいいのかな』と思うようになって、今は家で毎日ベッドカバーを掛けてからお仕事に行っています」。


――『べっぴんさん』はまず神戸を舞台に、戦前から物語がスタートします。芳根さん自身はその頃の時代を体験していませんから、すみれを演じる上で役作りのために何かされたことはありますか?

「私は今19歳で、授業で習うことくらいしか知識がなかったので『どうしようかな…』って考えていた時に、演出のチーフから『自分よりも年上の人の年表を作ってきてください』という宿題が出ました。さっそく、東京で一緒に住んでいるおばあちゃんに話を聞かせてもらいました。おばあちゃんの昔話を聞く機会って今までなかなかなかったから『全部聞いてみよう!』と思って、生まれた時のことからいつ東京に来て、戦争が始まって、その時はどういう生活をしていてどういう気持ちだったとか、あの時はこういう遊びが好きで、こういうことが好きだったという話を聞いて年表を作ったら、それを通してまず時代が見えてきましたね。あとは、自分で集められる情報はとにかく集めようと思ったので、いろんな方に話を聞いたり、神戸の資料館に行ったり、今でも実際に足を運んで体験したり見たり聞いたりしています」。

――すみれは第2週目で早くも出産し母親になります。母親を経験していない芳根さんにとって、子どもに対する接し方などは難しかったのでは?

「私は妹なので、自分より年下の子に触れ合う機会はあまりありませんでしたし、赤ちゃんと触れ合うこともこれまでなかったんです。でも小さい子は大好きなので、一緒に遊んだり、ご飯やお菓子を食べたりしてどんどん私に懐いてくれるのがすごくうれしいですね。子どもについての話もいろいろ聞きましたけど、実際に小さい子を目の前にして『この子の笑顔を守りたい』とか『この子が幸せでいてくれるだけで、こんなに幸せな気持ちになれるんだ』と感じることが一番大切なことかなと思いました」。

――芳根さんの中で“母性”が目覚めたような感覚でしょうか?

「出産のシーンを撮影する時、リハーサルでは赤ちゃんが人形でしたが、私、その時からなぜか大号泣してしまったんです。『なんで私、涙が出るんだろう』って。そんな私を見てスタッフの皆さんは『人形なんだから泣くな~!』って大笑いしていました(笑)。実際に赤ちゃんで本番を演じたら、私が産んだわけでもないのにやっぱり自然と涙があふれて、自分でも不思議な気持ちになりました。自分はまだ子どもだと思っていたけれど、『私にもそういう気持ちがあるんだ』って気付かされましたね」。


――そして、すみれは子育てにも奮闘していきます。

「2歳の娘役の子に洋服を着させるシーンがあったのですが、演出の方に『お母さんは、雑です』とアドバイスされたんです。ガッと着させていいと言われたのでその通りに着させたら『お母さんでした!』ってスタッフの皆さんから(笑)。最初は娘役の子にも『大丈夫~?』『お腹、すいてない~?』って言ったりしていたのですが、だんだん『いる!?』『食べる!?』と本当の親子のように接することができるようになって、『母親ってこういうことなのかな』と思いました」。

――将来自分が母親になった時のことを想像したり…?

「自分に子どもが生まれたら、私はどうなってしまうんだろうって思いましたね。出産シーンのこともあるので、泣きすぎて脱水症状で消えてしまうんじゃないかなって(笑)。でも、小さい子は大好きで将来子どもは絶対欲しいと思っているので、今回撮影をすることで将来がとても楽しみになりました」。

 
 

「この人がヒロインでよかった」と思われたいし
思ってもらえる存在になりたい

 
 

――今お話を聞いていて、言葉がところどころ関西のイントネーションになっている気がしますが。

「なっていましたか(笑)? でも普段話をしていても『あっ、今関西ことばだった!』って思う瞬間が増えてきて、『なじんできたね』と言われることも多くなってきたのでうれしいです」。

――あと、表情もとても明るいですよね。撮影も楽しく順調に進んでいるんだろうなということが伝わってきます。

「はい、『べっぴんさん』チームは最高です!! 1年間という長期の撮影もずっと同じ役を演じるのも初めてですが、不安を一番抱いたのは(ヒロインを演じることが)決まった直後ですね。その1週間後にはほとんど大阪での生活になって、スタッフさんや共演者の方とお話する機会も多くなったので、そこでグッと距離が縮まって安心感が生まれました。『自分をさらけ出していいんだ』と思って今では“私全開”でいます(笑)。私が素で毎日すごく楽しくいられるのは、皆さんが人と人との関わりを大事にしているからだと思うし、コミュニケーションをしっかり取ることが大切なのだとこのチームに入って改めて感じました」。


――大勢の共演者がいる中で、特に刺激を受けた方は誰でしょう?

「とても豪華な共演者の方々に囲まれているので、毎日が本当に刺激的で、いろんなことを吸収できるように頑張っていますが、まずはお父様を演じた生瀬さんですね。前半はお父様と2人のシーンも多くて、あるシーンで私が何回か演じて慣れてしまった時に、生瀬さんから『今までのことは全部忘れて、届けて』と言ってくださって、『届ける…そうか、届けなきゃいけないんだ!』と思ったんです。台本にあるセリフも、ちゃんとすみれの言葉でお父様に届かないと意味がないんだ、って。その時に感じた気持ちを大切にしようと、これまで以上に思うようになりました」。

――では、お芝居以外の部分でよくコミュニケーションを取っている共演者の方は?

「常に皆さんとお話はしているのですが、特に蓮佛(美沙子)さんや高良(健吾)さんとはご飯の話をよくします。会うたびに『今日のお昼はどこに行く?』とか『あのお店、おいしかったです!』とか、そういったご飯の情報交換を3人でしていますね」。


――百田夏菜子さんや土村芳さんなど、同世代の共演者の方とはどうでしょう?

「休憩中とかは、本当にしょ~もないことをしています(笑)。たとえば、夏菜子ちゃんがソファーに座っていたら、どんなに広くても私は真横にくっついて座るんです。『暑い! 近い!』と言われたりしますが、そういう仲の良さがありますね。最近では真横どころか膝の上に座るようになりました(笑)。夏菜子ちゃんとは2年前から映画や舞台で共演していたので、安心感があります」。

――百田さんはアイドル活動もしているので、他の女優さんとはまたちょっと違った刺激も受けるのでは?

「8月に初めてももクロちゃん(ももいろクローバーZ)のライブを見に行って、そこで初めてアイドルの夏菜子ちゃんを見ました。ファンの方からすると逆だと思いますが、私はお芝居を一緒にしていた時間のほうがずっと長かったので、『あっ、そうだ! 夏菜子ちゃんはアイドルなんだ!』と新鮮な気持ちになりました(笑)」。

――とても仲が良さそうですよね。

「はい。これからも一緒に頑張っていきたいですし、最近は『負けたくない!』と思うようになりました。昔はあまり感じることのなかった、“同世代の人に負けたくない”という気持ちが出てきたのは、自分ではすごくいいことだと思っていて。きっと同じオーディションを経てここに立っているからだと思いますが、ヒロインに選んでいただいたからには『やっぱりこの人がヒロインでよかった』と思われたいし、思ってもらえる存在になりたいです。もちろんすごく仲は良くて、一緒にご飯に行ったりもしますけれど、その中にもお互い『負けたくない』という気持ちがあれば、『べっぴんさん』もきっともっといい作品になるんじゃないかなと思っています」。


 


 
 

芳根京子(よしね・きょうこ)

生年月日:1997年2月28日(19歳)
出身地:東京都
血液型:A型

 

【CHECK IT】
2013年、ドラマ「ラスト♡シンデレラ」(フジテレビ系)で女優デビュー。2014年、連続テレビ小説「花子とアン」(NHK総合ほか)ではヒロインの親友の蓮子の娘・宮本富士子役を好演し、注目を集める。また、翌年にはドラマ「表参道高校合唱部!」(TBS系)のキャストオーディションで1000人以上の候補者の中から主演に選ばれたほか、映画「先輩と彼女」でもヒロインを演じた。
 

詳しい情報は公式HPへ
芳根京子 個人Twitter

 
 
■番組紹介
連続テレビ小説「べっぴんさん」
NHK総合 毎週月曜日~土曜日午前8:00~8:15ほか

詳しい情報はべっぴんさん公式HPへ

 
 

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